栃木県の森林状況

(1)土地利用及び森林資源

 森林面積は、県土の約55%を占め、木材の生産や地球温暖化防止、水源の涵養、生物多様性の保全などの機能を有しており、私たちの生活に欠かすことのできない重要な役割を果たしています。
土地利用(平成27年)
区分 面積 構成比
森林 3,495k㎡ 54.5%
農地/宅地等 2,913k㎡ 45.5%
6,408k㎡ 100%
人工林/天然林別林野面積/蓄積/年成長量
区 分 面積(ha) 構成比(%) 蓄積(千m3) 構成比(%) 年成長量(千m3) 構成比(%)
人工林 155,281 44.6 46,977 63.8 546 83
天然林 179,039 51.4 26,680 36.2 114 17
その他 13,979 4.0 2 0.0 - -
348,300 100 73,659 100 660 100
 人工林では10齢級(一定の幅に林齢を括ったものをいう。1年生から5年生までをⅠ齢級、6年生から10年生までをⅡ齢級として表示する。)以上の森林が6割以上を占めていますが、皆伐の減少に伴って造林面積が減り、将来にわたる木材の安定供給や公益的機能の持続的発揮が危惧される状況にあります。

(2)木材需給

 平成25年の素材の供給量は685千m3で、自県材72%、他県材24%、外材4%で、素材の用途別内訳は9割弱が製材用、残りが木材チップ用、合板用となっています。
 製材品出荷量は、305千m3です。
 成熟期を迎えた本県の森林資源を有効に活用するために、林業・木材産業の連携や体質強化を図りながら、消費者のニーズに即応し、品質の優れた県産材を安定的に供給できる体制づくりを進めています。

林業の作業暦

 主伐は、苗木を植付けてからおよそ50年以上経って、木材として使える大きさになった立ち木を伐採、収穫する作業です。
 樹木の水分が少なく、品質の高い製材品が生産できる秋から冬にかけてが伐採に一番良い時期とされています。
 伐採は、ハーベスタやプロセッサといった高性能林業機械が普及してきましたので、安全で能率良く、伐採から枝払い、玉切り(一定の長さの丸太に切る)まで一貫してできるようになりました。
 地拵えとは、立木を伐採した跡地の枝やかん木などを整理して、苗木を植えられる状態にすることで、2月から4月にかけて行われます。
 植付けは、苗木の根が活動を開始する時期に始まりますが、本県では多くの場合、春の乾燥期が終わる頃から、植付けられます。
 なお、雪の多い地方では、秋に植えることもあります。
 植付けは、根が周囲に十分伸びることができるように注意しながら、一本一本ていねいに植えることが必要です。
 植付けの作業は、現在のところ手作業に頼らざるを得ません。植林機械の開発研究は行われておりますが、まだ日本の森林に適した機械は開発されておりません。
 下刈は、植付けた苗木が雑草との成長競争に負けないように梅雨の時期から夏にかけて雑草やかん木などを刈払う作業です。
 また、つる切りは、苗木に巻きついたつるを切り取る作業です。いずれも暑い時期に草刈機や鎌を使っての作業で辛い仕事ですが、森林を健全に育て、より良い環境を作り、国土を守るために欠かせない仕事です。
 下刈の時期を終えて2、3年経つと植林木の成育を妨げる雑木やかん木などが現れるようになります。
 除伐は、このような雑木やかん木などを切取る仕事で、活力ある森林を育てるために必要な作業です。
 枝打ちは、青い葉のついた枝を切取る作業で製材品等に加工したときに、節の出ない高い価値の木材をつくる目的のほか、植林地の下草などに日を当てて、森林全体を健全に育てる場合にも行われます。
 間伐とは、植林木を間引きする作業で、苗木を植付けて20年位すると木が混み合ってきますので、このような時に行います。
 間伐をしないで放置すると、太陽の光が地表に届かなくなり、下草が生えなくなるため、雨が降ると栄養分の豊富な土が流され、土地が痩せてくるばかりでなく、災害発生の原因ともなります。
 人工林では、植林木の成長を見ながら、間伐を数回、適切に行わなければなりません。
 40年以上の立木では、間伐して販売することもあります。